2016年1月22日金曜日

十四.南太平洋編 Ⅴ女王陛下と夢の島々-1

十四.南太平洋編 Ⅴ女王陛下と夢の島々-1

   このブログは一つの物語です。


初めての方は、1からお読み下さい。


 カビエンという人口二千人位の島に、パプア・ニューギニアの独立、十周年記念という事で、前の統治国である大英帝国のエリザベス女王が来ていた。
 帆船のマストの上に黄金色のクラウンが飾ってある王室用の大型クルーザーが岸壁に着いていた。中世を思わせるスマートな帆船は何もかもがピカピカで、手入れが良くいきとどいていた。
 エリザベス女王、チャールズ皇太子ら王族が波止場に着くと、数十人の見物人が集まっていた。歓迎の音楽も拍手もなく、ゴムゾウリの土人らが、ぼぅーと立っているだけである。僕は彼らを押しのけると、さかんにシャッターを押し続ける。と、エリザベス女王はグリーンのワンピースを着てハンドバックを下げた普通のおばさんである。このきさくなおばさんは土人一人一人に握手していた。僕もすかさず手を出すと、おばさんは、「何で、こんな所に東洋人が居るのか?」と、不思議そうな顔をしたが、すぐ、ニッコリして握手してくれた。
 やがて、女王陛下は、歓迎の垂れ幕を張っただけの乗り合いトラックの荷台に乗り込むと、手を振って土煙とともに走り去った。さすがのブリテン帝国女王陛下も国によってはだいぶん持て成しが違うようである。土人達も女王の偉さ貴(とうと)さがよく分からず、へらへらと手を振っていた。

アン王女

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