2016年1月1日金曜日

十一.南太平洋編 Ⅰのんびりパプア人-1

十一.南太平洋編 Ⅰのんびりパプア人-1

   このブログは一つの物語です。

初めての方は、1からお読み下さい。


 懐かしい街並み、土人のとぼけたような顔。戻ってまいりました。僕はポートモレスビーの市場に立つ。再びニューギニア航路に乗り、第二の故郷ともいえるパプアへと舞い戻る。ヨーロッパへ登山に行く前、幾度も訪れた知りつくした街である。
 珊瑚礁と青い海、ヤシと南十字星、すべてが透き通る世界が何処までも広がっている。
「やっぱ、俺りゃ南がすきだなぁ」
韓国の凍てつくような世界から一気に南下して身体の皮をひっくり返された感じである。
 この航路は非常にゆったりとしている。日本で三週間程で積んだ荷を三ヶ月かけてパプアの街々を廻って降ろして行く。その間、僕はうろうろ出来るわけだ。
 が、もちろん停泊中の仕事もある。荷役の見張り、船体のバランスの計算である。これは日により他の航海士と交替出来るので、休みは十分とれる。それに昼間うろうろする僕は夜の見張りを主にやっていた。
 土人らは、夜中じゅう仕事をする。夜中じゅう、といっても彼らのは仕事とは言えない。半分以上はぶらぶらしているし、寝そべっている。サラサを腰に巻いた裸足の土人らが、何十人もぞろぞろ船に寝に来る。
 夜は寝そべっている彼らを踏まぬよう、気をつけて歩く。彼らは日本の沖仲師が一時間で揚げそうな荷を丸一日かけて揚げ、日本では三人で済むものを三十人ぐらい寄ってたかって、わぁわぁ言っている。
「まぁ、のんびりやってくれ、その分、俺りゃ遊びへ行ける」
と、僕ものんびり見ている。
 彼らは三十分ぐらいは真面目に仕事をするのだが、すぐ飽きるらしく、ドンドンと太鼓を叩き、輪をつくって踊りだす。荷監督の白人が、
「コリャー!」
と怒鳴ると、サッ、と散る。が、また三十分すると、ドンドンと太鼓の音が聞こえてくる。いくら言っても駄目なものは駄目である。

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