2015年7月31日金曜日

感 情 列 車

感情列車の中は
いつも満員
春はいつもそうだ。
重たい荷物がひしめく。
ゆがんだ顔が眼をむく。
暗くうつむいた顔もある。
ヤケクソになった顔もあるぞ。
こんなに乗せて大丈夫か、
車掌がボソボソ相談する。
都会脱出の感情列車、
猛スピードで
コンクリート圏をとびだす。
日指すは
青空とそよ風、田園。
   
原色に近い花。
傷ついた魂と
重くのしかかった責任感を
しっかり乗せ
レールをきしませ
猛烈な響きと汽笛を鳴らし
午前零時の街を駆ける。
蛇のような長い車両を
くねらせながら
ひたすら走り続ける。
疲れはスピードとともに
急速に落ちてくるはずだ。


2015年7月29日水曜日

宙

        1
未来を担うものは何万光年先の彼方から用意される。
ぐっすり眠ったあと、胃液に酸が分泌する。
ビラミッドの先はすべて宇宙のある一点の方角に忠実だ。
空間に三方向を指軸にする棒を高速で廻すと
必ずある一定方向(宇宙)の空間を指す。

煉製の魚は頭から食べるものだ。
僕たちの傍へ来た者よ
静かに椅子へ座り
光る幾つもの眼をまばたいて
遠い昔、僕たちが何処から来て
何処へ行こうとしているのか。
そして、何に祈りを捧げれば良いのか?
そっと教えてくれないか。

    2
こちらに鳴り響く電波は
アンドロメダ星雲にやや近い処から発せられる
僕らを置いていった者どもよ
降り落ちる水滴に唇を添え、
震えながら叫んでくれ。

ブラックホールの先に何があるのか?
花薫る、蜜匂う楽園を隠してはいないか。
星座は消え去った星のことを黙認し続けている。
足を踏み外した肉体は、谷底深く宇宙の穴に吸い込まれる。
君臨し続けた汗は
やがて、光に置き換えられようとしている。


2015年7月27日月曜日

銀 の 音(サウンズ オブ シルバー)

金輪際のおまえの背中に
金輪際のおれの唾をべっとり付け
抱きしめ抱きしめ
髪の間に手を入れ
撫でて撫でて
首筋に耳たぶから
涌いてくるおまえの匂い臭いでみる

息を吹き 髪を揺らす
流れる一本の筋  髪の音

揺れる光
さらさらの輝き

廻る廻る
銀(サウンズ) の(オブ) 音(シルバー

2015年7月24日金曜日

幻  惑

悔恨と嘘で固められた
僕らの世界に
また ひとつ悔恨と嘘を
べっとりと塗り付ける。

鯨が泡を吹き 狸が転んでも
地球はどうしても太陽系第三惑星である。

東か西か、なんとかかんとか
僕らはなにくわぬ顔をして、別れた。
明日も海から風が吹き上げ
山に雪を降らせる。

霧の降りかけた朝方
 鳥の声とともに

  女の悲鳴を聞いた

2015年7月22日水曜日

星  座

池の上
蛙は腹を出す
冷えきった身体を
月の光にさらす
今年も冬が来る
未来が何処にある か
わからぬ
過去はおたまじゃくしにあった
この次は何か
そればっかりを心配する蛙
憧れと不安とが
雲と一緒に行き来する
柳が揺れ
風が吹く
雲が流され
ずーと顔を覗かせる

  空  いっぱいの星

2015年7月20日月曜日

先  悔


落としていった後悔を
ひとつひとつ掘り下げて行く作業は
なかなか大変なものである。

落としもしない後悔も充分洗って
タンスの二番目あたりになおしておく。
いつかなんとか使える日が来ることを祈って
ナフタリンの匂いをしっかり付けておく。


近日発売のマークは
これか始まる後悔のことで
しっかり、疲れる
なかなか乙(おつ)な予約である。
  
はたまたもって
訪れることの多い後悔なら
最初より行なう先悔にしてみたらどうだろう。
            

2015年7月17日金曜日

ラ イ フ その1

大胆な構成が
かなりのスピードで
追い上げてくる。
横積みされた
よろしくない出来事が
卓袱台(ちゃぶだい)の上に乗っかっている
社会人が社会人であるために
今日もニュースぺーパーを広げる。

瞬きする、
その瞼に
蝿が止まるスキもない。
記念切手を貼ったままの
手紙もそのままになっている。

  俺は夜中にネクタイをして
  何処へ行こうとしているのか。

社会人であろうとする
名札を付けた
小学生のようなサラリーマンよ。



2015年7月15日水曜日

斜 陽

なにがしかの
気持ちをもって
迫(せ)り上がるものを押さえる
川に流された
少年は
水を飲み水を吐き
息を吸い
また 水を飲み水を吐き
息を吸う

目は樹を追い
風に救いはなく
太陽は斜めに
ずっと輝いたまま
帰ろうとする家は

次第に遠ざかり

波の流れとなる

                               


2015年7月13日月曜日

落 葉

足音を忍ばせ秋遠く
落葉にむせぶ揺れる想い。
かすかな風を身にまとい
やわらかな光に影を触れ合う。
記念にシャッター押す音はひとつの季節を終わらせる。
またもや忘れ去る光景に手をふって
くりかえし、くりかえし
足音を遠ざけようとする。

2015年7月9日木曜日

石 投 げ

よぉし
起き上がったら投げてみよう
どこまで
届こうとするきなのか
空に尋ねてみよう

故郷(ふるさと)の山あいに投げた
少年の頃と同じ勢いで
石を投げる

少年の頃と同じ勢いで
飛んだなら
戻ってくれ

あの頃に

掃 除 マ ン

雪つのる寒風
吹雪の中、
陽射し照りつける
真夏。
竹ぼうきを持った
おっさんが
朝から深夜まで
「市長が悪、悪い」
と言いながら
街中(まちじゅう)、掃除をし続けている。

俺も
「自分が悪い 悪い」 
と言いながら
過去を掃除したいものだ。


石

もの言わぬ石
石の重み
石の堅さよ
雪に埋まる
何ももの言わぬ

ぞんざいな
刻まれた歴史に
あるべき
姿たる
欲求もなき
耐えることのみの

ようよう堅く
群ぐん青じょう色の
単なる
石の姿よ