このブログは一つの物語です。
初めての方は、1からお読み下さい。
ワタの旅と冒険-1
ストックホルムにはスペインに負けない立派な城があった。花の咲き乱れるノルマンディの豪華な城で、城壁から見るストックホルムの街はしっとりとして中世の街並みのようであった。城の隙間から夕陽の洩く紅い陽が眩しく鮮やかである。僕は城の庭からストックホルムの街に向って立つ車輪の付いた中世の大砲の中を第二夜の宿とした。
街中のカフェーで日本人のヒッピーと出逢うが、彼も日本人が懐かしいのか、しつこく話しかけていた。彼はストックホルムに住みついて針金のペンダントを売っているというが、なんと、年商一千万だそうだ。
「いやぁ 此処はいい所ですよ。若い娘はようけ金持っとるから、オリジナルのペンダントを作ったら飛ぶように売れるよ」
と、言っていたが、スウェーデンは物価が高いから日本の金銭感覚ではいかぬようだ。でも、給与を貰うよりはいいと言う。
「サラ洗いで、月収三十万やろ、でも、その半分近くは税金で持って行かれるし、物価が高いから、結局、日本と同じ位になってしまう。」
と、言っていた。
所得と物価と税金の高い福祉国家は教育も高き、ほとんどの人が大学を出ていて、公園を掃除しているおばちゃんでも三ヶ国位は喋れた。
物価が高いので、スーパーへ買い物に行っても、皆高く、桁が違うのではないか?と思える程、物が高い。おまけに酒がない。禁酒国ではないが、配給制でティケットがないと酒は飲めないのだ。スーパーでビールが売っていたが、やっぱり高い。フランスの三倍はする。ぶつぶつ言いながら買って飲んでみるとほとんどがソーダー水で、かすかにビールの薫りがした。アルコール分一パーセントと書いていて、高い缶ビールを三缶飲むと、ほのかに酔ったような、気のせいがした。
高いホテルを避け、ストックホルムの駅の待合室に座っていた。何人かのおっさんらも並んで座っている。
真夜中、黒い皮のコートを着た警官がドカドカと入って来たのでびっくりして見ていると、座っているおっさんらの肩を握って強く引っ張った。犯人か、何か?捕えに来たのかと思ったが、僕以外のすべてのおっさんを引っ張った。すると、澄して座っていたおっさんらが将棋の駒のようにドカドカと倒れ込んだ。見ると、皆、白目をむいたり口から泡を吹いたりしていた。泥酔しているのだ。警官はそのおっさんらの衿首をつかむとズルズルと物を運ぶように引いて行った。ヨッパライの取締まりであった。
この国は、アル中が非常に多いという。高い教育を受けた人達が、どうしてアル中になるのか、というと、福祉が整い過ぎているからだ、と思う。結局、自由な時間の余り、労働しなくても守られる制度があるから、酒を飲むしかなくなってしまうのだろう。それで酒を配給制にしているのだ。
パプア・ニューギニアがやはり酒に関して厳しい法律がある。午後六時から九時まで開く国営のビアホール以外では飲酒が禁じられていて、また酔っぱらって道を歩いていると逮捕される。だから、ビアホールでウハウハベロベロになっていても九時閉店時になると皆、ピシャッとして両手を振って家路へ向う。スウェーデンとは反対に酒に溺れて働かないのを防ぐ為である。
原始社会と高度文明社会とは抱える問題は同じであった。結局、法や規制に縛られないと人間は易きに流される、という事か・・・。
僕も日頃から生活が乱れてくると、断食をしたり友と会わぬよう自分を隔離したり、いろいろと己に規則をつけている。が、どうしても易きに流されてしまう弱い人間だ。
初めての方は、1からお読み下さい。
ワタの旅と冒険-1
ストックホルムにはスペインに負けない立派な城があった。花の咲き乱れるノルマンディの豪華な城で、城壁から見るストックホルムの街はしっとりとして中世の街並みのようであった。城の隙間から夕陽の洩く紅い陽が眩しく鮮やかである。僕は城の庭からストックホルムの街に向って立つ車輪の付いた中世の大砲の中を第二夜の宿とした。
大砲
街中のカフェーで日本人のヒッピーと出逢うが、彼も日本人が懐かしいのか、しつこく話しかけていた。彼はストックホルムに住みついて針金のペンダントを売っているというが、なんと、年商一千万だそうだ。
「いやぁ 此処はいい所ですよ。若い娘はようけ金持っとるから、オリジナルのペンダントを作ったら飛ぶように売れるよ」
と、言っていたが、スウェーデンは物価が高いから日本の金銭感覚ではいかぬようだ。でも、給与を貰うよりはいいと言う。
「サラ洗いで、月収三十万やろ、でも、その半分近くは税金で持って行かれるし、物価が高いから、結局、日本と同じ位になってしまう。」
と、言っていた。
所得と物価と税金の高い福祉国家は教育も高き、ほとんどの人が大学を出ていて、公園を掃除しているおばちゃんでも三ヶ国位は喋れた。
物価が高いので、スーパーへ買い物に行っても、皆高く、桁が違うのではないか?と思える程、物が高い。おまけに酒がない。禁酒国ではないが、配給制でティケットがないと酒は飲めないのだ。スーパーでビールが売っていたが、やっぱり高い。フランスの三倍はする。ぶつぶつ言いながら買って飲んでみるとほとんどがソーダー水で、かすかにビールの薫りがした。アルコール分一パーセントと書いていて、高い缶ビールを三缶飲むと、ほのかに酔ったような、気のせいがした。
老人と子供
高いホテルを避け、ストックホルムの駅の待合室に座っていた。何人かのおっさんらも並んで座っている。
真夜中、黒い皮のコートを着た警官がドカドカと入って来たのでびっくりして見ていると、座っているおっさんらの肩を握って強く引っ張った。犯人か、何か?捕えに来たのかと思ったが、僕以外のすべてのおっさんを引っ張った。すると、澄して座っていたおっさんらが将棋の駒のようにドカドカと倒れ込んだ。見ると、皆、白目をむいたり口から泡を吹いたりしていた。泥酔しているのだ。警官はそのおっさんらの衿首をつかむとズルズルと物を運ぶように引いて行った。ヨッパライの取締まりであった。
この国は、アル中が非常に多いという。高い教育を受けた人達が、どうしてアル中になるのか、というと、福祉が整い過ぎているからだ、と思う。結局、自由な時間の余り、労働しなくても守られる制度があるから、酒を飲むしかなくなってしまうのだろう。それで酒を配給制にしているのだ。
パプア・ニューギニアがやはり酒に関して厳しい法律がある。午後六時から九時まで開く国営のビアホール以外では飲酒が禁じられていて、また酔っぱらって道を歩いていると逮捕される。だから、ビアホールでウハウハベロベロになっていても九時閉店時になると皆、ピシャッとして両手を振って家路へ向う。スウェーデンとは反対に酒に溺れて働かないのを防ぐ為である。
原始社会と高度文明社会とは抱える問題は同じであった。結局、法や規制に縛られないと人間は易きに流される、という事か・・・。
僕も日頃から生活が乱れてくると、断食をしたり友と会わぬよう自分を隔離したり、いろいろと己に規則をつけている。が、どうしても易きに流されてしまう弱い人間だ。



