十二.南太平洋編 Ⅲパプアの熊-1
このブログは一つの物語です。
初めての方は、1からお読み下さい。
乗り合いトラックというのはバスみたいなものでトラックの荷台の上に客が乗り、下車する所に来ると運転席の窓ガラスをバンバンと叩く。そして金を払って降りるわけだが、中には目的地に近づくと、荷台から、パッと飛び降りる奴がいる。それをすかさず、運転席のバックミラーから見る運ちゃんは慣れたもんで、ガクン、とギアーを入れ替えウィーン、とバックする。が、荷台に乗っている者は堪らない、振り落とされそうになる。乗り逃げのおっさんは、サッ、と忍者のようにジャングルの中に消える。運ちゃんは、ペッ、と唾を吐き捨てると再び発進する。
この乗り合いトラックに乗って僕はカメラを下げ、奥地、奥地へと入って行くのだが、ある時、あまり奥まで入り過ぎ、幾ら歩いても乗り合いトラックは来そうにもなかった。
だんだん陽も暮れ、あたりも暗くなり始めた。
「ウォーン」
と、何処かで野犬の鳴く声がする。
「心細いなぁー」と薄暗い夜道を歩いて行く。ジャングルに囲まれた外灯も何もない道である。
「ウォーン」
野犬の声がだんだん近づいてくるような気がする。
僕は犬が大嫌いなのだ。子供の頃、よく犬を苛めては噛みつかれていた。尻が犬の歯型ばっかりになった事もある。それでも負けずに復讐し、爆竹やねずみ花火などを使って犬を脅していたが、その分また噛みつかれもした。だから、小さなスピッツに吠えられてもドキッ、とする。
おかしなもので、嫌いなのは、向うの方も嫌いらしく、道の入り組んだ住宅団地などを歩いていると、遠くの方で犬が吠えている。そして、しばらく歩いて行くと、だんだんその吠える声が近づいてきて、その犬の居る家の前を通らなければ目的地に着かないようになっている。動物の第六感というのは恐ろしいものである。
その犬の大嫌いな僕が夜道を心細そうに歩いている。すると、
「ウォーン、ワ、オーン」
と、声がしたか、と思うと、
「ウァン、ウァン、ウァン、ウァン」
と、ジャングルの中から数匹の犬が踊り出た。
初めての方は、1からお読み下さい。
乗り合いトラックというのはバスみたいなものでトラックの荷台の上に客が乗り、下車する所に来ると運転席の窓ガラスをバンバンと叩く。そして金を払って降りるわけだが、中には目的地に近づくと、荷台から、パッと飛び降りる奴がいる。それをすかさず、運転席のバックミラーから見る運ちゃんは慣れたもんで、ガクン、とギアーを入れ替えウィーン、とバックする。が、荷台に乗っている者は堪らない、振り落とされそうになる。乗り逃げのおっさんは、サッ、と忍者のようにジャングルの中に消える。運ちゃんは、ペッ、と唾を吐き捨てると再び発進する。
この乗り合いトラックに乗って僕はカメラを下げ、奥地、奥地へと入って行くのだが、ある時、あまり奥まで入り過ぎ、幾ら歩いても乗り合いトラックは来そうにもなかった。
だんだん陽も暮れ、あたりも暗くなり始めた。
「ウォーン」
と、何処かで野犬の鳴く声がする。
「心細いなぁー」と薄暗い夜道を歩いて行く。ジャングルに囲まれた外灯も何もない道である。
「ウォーン」
野犬の声がだんだん近づいてくるような気がする。
僕は犬が大嫌いなのだ。子供の頃、よく犬を苛めては噛みつかれていた。尻が犬の歯型ばっかりになった事もある。それでも負けずに復讐し、爆竹やねずみ花火などを使って犬を脅していたが、その分また噛みつかれもした。だから、小さなスピッツに吠えられてもドキッ、とする。
おかしなもので、嫌いなのは、向うの方も嫌いらしく、道の入り組んだ住宅団地などを歩いていると、遠くの方で犬が吠えている。そして、しばらく歩いて行くと、だんだんその吠える声が近づいてきて、その犬の居る家の前を通らなければ目的地に着かないようになっている。動物の第六感というのは恐ろしいものである。
その犬の大嫌いな僕が夜道を心細そうに歩いている。すると、
「ウォーン、ワ、オーン」
と、声がしたか、と思うと、
「ウァン、ウァン、ウァン、ウァン」
と、ジャングルの中から数匹の犬が踊り出た。
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