ワタの旅と冒険-2 アフリカ偏(Ⅳ 象牙海岸の月-1)
このブログは一つの物語です。
初めての方は、1からお読み下さい。
西アフリカは東と異なり、光も影も眩しく、空気が濃いせいであろうか、緑や人、海や空、すべてのが濃く原色に近く鮮やかである。黒人の色の黒さも、色のついたブラックである。
海岸に着く漁船から、グロテスクな紫やブルーの怪魚を黒人の猟師らが下げて来る。水も魚もキラキラと光っている。
コートジボアール。象牙海岸のこの国は、フランスの植民地から独立したばかりで、フランスの植民地にしては、他の国よりフランスに近いからだろうか、フランス風な洒落たところがある。シャンデリデ通りを真似た通りがある。が、ひとたび街を離れると、まさにアフリカであった。すべて光っていた。
市場には、サラサ一枚の黒人らがワイワイ言ってたむろする。人々の輝くような白い歯が妙に印象的だ。活気にあふれる若い独立国である。海岸線には、ウェストコーストのような眩しい砂浜に白いホテルが並んでいた。
この洒落た街に長らくの滞在となった僕は、見慣れてきた街並みをぶらぶらとし、カフェテラスでビールを飲んでいた。すると、花壇に囲まれた少し離れた席に、白人との混血らしい娘が目についた。なかなか、チャーミングな娘であった。
「混血になると奇麗になるもんだなぁ、だいぶん黒人の血が薄くなっているからだろうか」
と、ぼんやり娘を見ていたら、しばらく目が合ったのか、その娘が、
と言って僕の隣の席に座って来た。手にオレンジジュースを持っていた。長いまつげの下から真黒いキュートな瞳をくるくると回し、ストローをいじくっていた。レースのカーデガンを肩に掛け、学生風の娘であった。英語で日本の事を教えてほしいなどと、言っていた。キョウトに行ってみたいなどとも言っていた。彼女が尋ねる事を教えてやると、彼女は熱心に聞き入っていた。
彼女は父親がフランス人、母親がフランス人と黒人との混血だと言っていた。どうりで黒さが薄いはずだ。二十歳になる前といい、髪はアフリカ特有の縮れた髪を奇麗にまとめ、眼が大きく、クリクリとしていた。
辺りが暗くなりかけた頃、その娘が
「知っている店がある、ダンスに行こう」
と、誘うので、別段、用のない僕は彼女に夜の街を案内してもらおうと、手を引かれるまま、ついて行った。