2015年12月7日月曜日

十.韓国編-Ⅰ人々の中で-2

十.韓国編-Ⅰ人々の中で-2


このブログは一つの物語です。


初めての方は、1からお読み下さい。


 とにかく安いので、あまり文句は言えないが、本当に何でも安い国である。 
 船の荷役も岸壁にクレーンがあるが、クレーンは動かずに荷役人夫が船底から荷を運び出していた。クレーンを動かすよりは、人夫の人件費の方が安いのだそうだ。おかげで、出航は遅れ、長い長い停泊となった。 
 ある時、骨董品を買おうと、十万円程エージェント(代理店)に両替えしてもらったら、皆五百ウォン札でくれた。すごい札の量である。サイフに入りきれない札束をGパンのポケットや胸のポケットにねじ込んで歩いていると、風がビューと吹き、ポケットの札束がパァーと宙を舞った。空一面に舞う札束。「きれいだなぁー」と花びらのように風に飛び、流れる札束を見ては、一瞬の出来事にぽやーっとしていると、何処から集まって来たか、韓国人がわぁわぁ言いながら、僕の札束を拾っていた。車が止り、一時、通りがパニックになった。「はっ!」として、札束を拾うが、ごわごわになって両手に抱えきれない程の札束を数えてみると、だいぶん少なくなっていた。 
 仁川の波止場のゲイト(門)の所にポン引きがたむろしていた。かなりの金になるらしく、ゲイトを出る外国人を皆、車に引きずり込もうとする。 
 七十歳近い船医の爺さんがゲイトでポン引きに抱え上げられ車にほうり込まれ、遊郭で捨てられたらしいが、役に立たぬ爺さんは孫のような女と茶を飲んで金を払って帰ったという。 
 僕はこのうるさいポン引きに頭を焼いていた。ゲイトを出ると、わぁわぁハエのように寄ってくるポン引きを睨みつけて街へ出るが、ある時ハイエナのようにしぶといポン引きが一人、街をゆく僕をつけ廻した。 
「うるさいから、あっちへ行け!」 
と言うが、行かない。ついて来るのは勝手だからと、ほっておいたら、今度はそのポン引きが僕に文句を言い出した。彼は僕が遊郭へ行くもんだ、と思ってついて来て、僕が遊郭へ入った時、ドサクサにまぎれて、そこの女将に「客を連れて来た」と言って、金をもらうつもりだったのだろう。それが、僕が一向に遊郭へ行く気配がないので、頭にきたのだ。

0 件のコメント:

コメントを投稿