十.韓国編-Ⅰ人々の中で-5
このブログは一つの物語です。
初めての方は、1からお読み下さい。
と言って指さすと、そこには、しっかり“加工加茶”と書かれた赤い看板がかかっていた。
「うむー」
と思っているところへ女は僕の手を引いて木戸の内へと入る。そして、門を潜ったとたん、女はバタンと戸を閉めると、ガチャガチャと素早く錠を掛け、「アワワワワ」と大声の韓国語で叫んだ。すると、奥から「わぁー」と女やら小僧やらが出て来た。来るやいなや、僕が来ている羽毛服をバッとつかんだ。
「こりゃいかん!」
と、とっさに思うが、その時すでに数人の女やら小僧やらが、僕の羽毛服をしっかりと握りしめていた。羽毛だから握り易いのか、ぐっとつかんでいる。
「いやぁ!」
「くぅー」
と身体を振るが取れない。虫かなんかにくっつかれてる感じだ。真赤な羽毛服を着て髭を生やした男を数人の女、小僧らが輪になって必死につかむ。
悲痛の声を上げる。男なら殴り投げ飛ばすところだが、女、子供を殴るわけにはいかない。
「むぅー」
と、必死の力を振りしぼり二メートル程の赤壁に飛びつく。クライマーだ、この位の壁は登れる。
が、彼女らは、ぐっ、と握った手を離さない。壁にぶら下った僕を、女達がつかまえて引きずり降ろそうとする。
「うむー」
まるで、地獄に引きずり込まれていくようだ。羅生門である。天気は悪い。どんよりとしたグレーの雲が掛かっている。
壁にぶら下って息をする。
「ゼーゼー」
下の方でも
「ゼーゼー」
と吐く息が聞こえる。
彼女らは吸いついたように離れない。羽毛のつかみごこちが良いのか、スイス製の羽毛服が引き破れそうだ。
「まてよ?この三万円はする羽毛服を引き破るよりゃ、女郎屋代の方が安い。せいぜい一万円だ。」
と、素早く頭の中で計算した僕は、女郎屋代よりは羽毛服代を取って、パッ、と塀から手を離す。そして、
「わかった、わかった」
と、手を振り、女将らしい女に、
「わかったから、もうやめさせろ」
と言った。
初めての方は、1からお読み下さい。
と言って指さすと、そこには、しっかり“加工加茶”と書かれた赤い看板がかかっていた。
「うむー」
と思っているところへ女は僕の手を引いて木戸の内へと入る。そして、門を潜ったとたん、女はバタンと戸を閉めると、ガチャガチャと素早く錠を掛け、「アワワワワ」と大声の韓国語で叫んだ。すると、奥から「わぁー」と女やら小僧やらが出て来た。来るやいなや、僕が来ている羽毛服をバッとつかんだ。
「こりゃいかん!」
と、とっさに思うが、その時すでに数人の女やら小僧やらが、僕の羽毛服をしっかりと握りしめていた。羽毛だから握り易いのか、ぐっとつかんでいる。
「いやぁ!」
「くぅー」
と身体を振るが取れない。虫かなんかにくっつかれてる感じだ。真赤な羽毛服を着て髭を生やした男を数人の女、小僧らが輪になって必死につかむ。
悲痛の声を上げる。男なら殴り投げ飛ばすところだが、女、子供を殴るわけにはいかない。
「むぅー」
と、必死の力を振りしぼり二メートル程の赤壁に飛びつく。クライマーだ、この位の壁は登れる。
が、彼女らは、ぐっ、と握った手を離さない。壁にぶら下った僕を、女達がつかまえて引きずり降ろそうとする。
「うむー」
まるで、地獄に引きずり込まれていくようだ。羅生門である。天気は悪い。どんよりとしたグレーの雲が掛かっている。
壁にぶら下って息をする。
「ゼーゼー」
下の方でも
「ゼーゼー」
と吐く息が聞こえる。
彼女らは吸いついたように離れない。羽毛のつかみごこちが良いのか、スイス製の羽毛服が引き破れそうだ。
「まてよ?この三万円はする羽毛服を引き破るよりゃ、女郎屋代の方が安い。せいぜい一万円だ。」
と、素早く頭の中で計算した僕は、女郎屋代よりは羽毛服代を取って、パッ、と塀から手を離す。そして、
「わかった、わかった」
と、手を振り、女将らしい女に、
「わかったから、もうやめさせろ」
と言った。
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