九.オーストラリア編 Ⅱ 原始人の島-1
オーストラリア、ダーウィン市をぐーっと廻り込んだカーペンタリア湾に浮ぶ孤島、グレートアイランド島。かつてのオーストラリア現地人の保護地区である。
アフリカ、ニューギニアと、黒人をいろいろ見て来たが、此処の原住民は黒人ではなかった。黒源人に近く、色の黒さは並の黒さではなく、焦げたように茶色っぽく、髪は白髪に近いグレーで、長髪にしていた。顔は、昔映画で見た「猿の惑星」に出てくるあの猿人の顔そのものである。猫背で背中が曲り、手足が異様に長く、人間の姿には程遠いものである。こういう顔にじーっと見られると怖いものであるが、向うの方も東洋人である僕が珍しいらしく、興味げに、じーっと見る。そんなに見つめられたら、恐いというのに・・・。
風が強く、砂煙が立つ、バラックの立ち並ぶ道を歩くと、猿人らが、立ち止まって見る。回りから視線が集まる。
彼らに見つめられると、故郷の野生猿を放し飼いしている高崎山へロッククライミングの練習へ行く時を思い出す。小道の両脇に何十匹もの猿が陣取って僕らの通路を塞ぎ、ボスらしい大猿が前方で、じーっと僕らを睨みつける。僕らは、なるべくうつむき彼らと眼を合わせぬようにして歩いてゆく。眼を合わせると、大猿が「キー」と言って襲って来るのだ。そういう時、僕らはすかさず持っていた爆竹を投げる。パン!パン!パン!と激しい音が山に響くと、猿どもは天と地がひっくり返ったように目ん玉をくるくる廻し、慌てふためき手足をバタバタさせて山奥に逃げまくる。
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