八.スマトラと南十字星-2
このブログは一つの物語です。
初めての方は、1からお読み下さい。
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デュマイの街は、東南アジア特有の騒めきがある。この街には輪タクが走っていた。客を一輪車の座席に乗せて自転車を漕ぐわけだが、この一輪車、前に人が乗り、後ろに麦わら帽をかぶったおっさんが自転車を漕ぐもんだから、乗ってみると、実に怖い。対向車線などないこの街は、前から車が、ヴォーン、と走って来る。
「わぁー」「わわわ」
ブォー、グォーと、目の前から車が向って来る。こんなぶっそうなものに乗れるもんかと、
「おい、親父、降りろ!俺が運転してやる」
と、親父を前の座席に乗せてペダルを廻すが、ペダルが重い。重心が前にあるのでハンドルが切りにくいのだ。ふらふら、ぐにゃっと運転すると前からどんどん車が向って来る。
「うひゃー」「うぇー」
今度は親父が前で叫ぶ。どうだ、人の気持ちが分かったろ!とペダルを踏み続ける。
鼻髭を生やした東洋人が、現地のおっさんを乗せて輪タクを走らせているので、街の人が、なんだろう?と、不思議がって皆んな見ているが、
「いやぁ、なかなかの市内観光、運動にもなる」
と、僕はすっかりごきげんである。
この街では実にいろんな物を食った。訳の分からぬ料理は油っこく、こくのある味をしていた。
街のポン引きに誘われるまま、つい、入ってしまった納屋のような女郎屋で、
「暑い暑い。おい、ビールを持って来い」
と、藤の団扇で扇ぎながら叫ぶと、イカリソースの瓶みたいな瓶に、また訳の分からん文字を書いたビールを持って来た。ぬるい、というより熱かった。
「こんな、ぬるいビールは飲めん、冷たいやつはないんか!」
と、また叫ぶと、
「ワワワワ」
と店の女が小僧に何か言う。
しばらくして、小僧が走って帰って来たので見てみると、金属の洗面器の中に氷が一塊入っていた。懐かしい、子どもの頃、かき氷屋で見た氷の塊だ。よく見ると、中に藁やら何やらようけ入っている。
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