心地良い夕暮れ、僕は彼女と幾度も踊った。カセットテープから流れるディスコ調のリズムは若い僕らを酔わせた。あたりが暗くなりかけると、キャンプファイヤーの炎がバチバチと燃えあがり、見た事もない星座が幾つも輝いていた。
彼女の長い髪からは甘酸っぱい薫りが流れた。田舎で育った彼女は都会の事を良く知らぬようであり、日本の事を話すと珍しそうに聞いていた。僕の英語がまずいのか、よく白い歯を出して笑っていた。
翌日、僕らは長いカナディアンカヌーに乗り込むと、湖へと出かけた。水は滑らかだった。水面すれすれに浮ぶカヌーに乗って滑るように水を切って進んだ。僕はごきげんだった。目の前にキャッシーが居る。グリーンのダウンベストを着てカヌーを漕ぐ彼女の背にやさしい陽差しが射込んでいる。湖の奥へ奥へと入って行くと、水の色は深いブルーからコバルトブルーへと変わり、森から飛び立つ大きな鳥が幾匹も頭上を横切って行った。肌に染み通るような滑らかい涼しさが僕らを襲った。
遊び疲れた僕らは、夕食の準備に取りかかる。誰かが奏でるギターの音がナレーションとなり、黄昏の湖畔にゆっくりと流れていた。
すっかりキャッシーを気に入ってしまった僕は、このままこういう時間が何時までも続く事を望んだ。船に帰りたくなかった。このまま、このアラスカの地で生活したいなどとも思った。
キャッシーが、「また、この街へ船で来る事があるか?」と、尋ねた。製材の過程で溜った木材のチップを、たまたま僕の乗る船が何年かに一度取りに来た街である。万が一にももう来る事はあるまい。
キャッシーと離れたくない、と暗闇で彼女を抱きしめると、チャプチャプというさざ波の音だけが聞こえ、空には星が輝いていた。
幾日か、皆で楽しく過ごしたバカンスは終わり、行きに乗って来た車へと乗り込むと、湖畔の曲りくねった道を通り、街へと向かった。皆、遊びくたびれて、ぐたっとなっていた。僕は流れる黄色い針葉樹と、チラッ、チラッと樹木の隙間から見える光る湖を、ぼんやり目を開けて眺めていた。
彼女の長い髪からは甘酸っぱい薫りが流れた。田舎で育った彼女は都会の事を良く知らぬようであり、日本の事を話すと珍しそうに聞いていた。僕の英語がまずいのか、よく白い歯を出して笑っていた。
翌日、僕らは長いカナディアンカヌーに乗り込むと、湖へと出かけた。水は滑らかだった。水面すれすれに浮ぶカヌーに乗って滑るように水を切って進んだ。僕はごきげんだった。目の前にキャッシーが居る。グリーンのダウンベストを着てカヌーを漕ぐ彼女の背にやさしい陽差しが射込んでいる。湖の奥へ奥へと入って行くと、水の色は深いブルーからコバルトブルーへと変わり、森から飛び立つ大きな鳥が幾匹も頭上を横切って行った。肌に染み通るような滑らかい涼しさが僕らを襲った。
遊び疲れた僕らは、夕食の準備に取りかかる。誰かが奏でるギターの音がナレーションとなり、黄昏の湖畔にゆっくりと流れていた。
すっかりキャッシーを気に入ってしまった僕は、このままこういう時間が何時までも続く事を望んだ。船に帰りたくなかった。このまま、このアラスカの地で生活したいなどとも思った。
キャッシーが、「また、この街へ船で来る事があるか?」と、尋ねた。製材の過程で溜った木材のチップを、たまたま僕の乗る船が何年かに一度取りに来た街である。万が一にももう来る事はあるまい。
キャッシーと離れたくない、と暗闇で彼女を抱きしめると、チャプチャプというさざ波の音だけが聞こえ、空には星が輝いていた。
幾日か、皆で楽しく過ごしたバカンスは終わり、行きに乗って来た車へと乗り込むと、湖畔の曲りくねった道を通り、街へと向かった。皆、遊びくたびれて、ぐたっとなっていた。僕は流れる黄色い針葉樹と、チラッ、チラッと樹木の隙間から見える光る湖を、ぼんやり目を開けて眺めていた。
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