2015年10月5日月曜日

ワタの旅と冒険-2 アフリカ偏(Ⅳ 象牙海岸の月-3)

ワタの旅と冒険-2 アフリカ偏(Ⅳ 象牙海岸の月-3)


このブログは一つの物語です。
初めての方は、1からお読み下さい。


「うぉ、こいつは強そうだ・・・・・・」
まともに闘っては勝ち目はないと、とっさに空手のポーズをとる。すると、さすがの大男も身じろぎ、藁の上にある長い草刈り鎌を握った。一メートルはある弧を描く刀のようなものだ。あれで切られては堪らぬ、と暗闇の中を探すと、もう一刀あった。刀を握るや、さっ、とベランダへ駆け上る。男が追いかける。
「ガチャン、ガチャン」
と、決闘の始まりである。満月であった。煌々と輝いていた。腕が重い。長い刀を振るたびに、ぐっ、ときた。
「ガチャン!」
と、刀が合わさると、ビリビリと腕が痺れた。
「ああ、こんな事は早くやめたい」
と、金色に輝く月を、チラッチラッと見る。しばらくすると、ガウンを着た女が降りて来て、僕の方を見ながら、男にフランス語の早口で何か喋った。何を言ったか?男は、刀を投げ捨てると、僕の方を見ようともせず女と去って行った。
 月に照らされ、刀を握ったまま、仁王立ちに立つ、残された日本人一人。
「むむ・・・・・・」
彼女は何を言って彼を脅かしたのだろうか、そういう事は、どうでも良かった。僕はもう彼女のアパートへ寄りつかなかった。
「けったくそ悪りい!」
と、言いながら、バーでビールを飲んでいた。

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