2015年10月21日水曜日

三.蒼い波-2

三.蒼い波-2



このブログは一つの物語です。
初めての方は、1からお読み下さい。

 水平線に虹が掛かる。虹の端というものを見たくて、少年の頃、自転車に乗って丘を駆けた覚えがある。実際に水平線や地平線に虹が掛かると、水面や地面の下にまだ光を隠しているんじゃないか?と思える程、水平線の下に続きがあるように、くっきりと水平線に真半分で表れる。水面下の虹は別の世界が所有しているように思われる。
 海に顔があるように……各々、海々の朝焼け、夕焼けもまた、十色である。十色どころか、毎日の気候、気温、湿度によって大幅に変化する。むろん、各海洋によって大きな特徴はあるが……。
 朝焼けはブルー、夕焼けはオレンジが主体となる。次から次と変化する色合いは、それは美しいもので、絶景である。絵具やネオンでは見た事もない、とうてい人間が創り出せないであろう色合いが、次から次と演出される。朝、夕焼けとも約二時間、この大ドラマは毎日、演出される。
 昔の人が夕焼けの奥に極楽浄土や桃源郷を見たというのも当然で、神秘的で奥深いものである。
 僕も缶ビールを飲みながら、刻々と変化するこの絶景を眺めていると、あの色彩の奥深くに別世界があるのでは…というような錯覚におそわれてくる。何もなければ、あんなに美しい色彩が出てくるはずがない。それ程、この世のものとは思われぬ色彩が雲の中に滲み、きらめく。
 陽が沈むと、星がぐわー、と群棲する。南半球のあらゆる星座が集まり大パノラマとなる。星がデカイのだ。光星が多く、キラキラと空いっぱいに輝く。これも、また人間が創り得ない最高の輝きである。宇宙が近いのを間近に感じる大気の透き通る闇の中、オールキャスター星座、宇宙の大演出である。
 星を眺めるのに飽きたら、海を眺める。夜の海は音を吸い込み波が声を出す。船体が切る波の音と、潮がうねる波の音とがぶつかり合い、独特のシンホニーとなって、吸い込まれるような、海の中より響いてくる。
 海面には夜光虫がキラキラと光り、船体の切る波に飲まれ、消えてはまた光る。海一面、キラキラの海蛍。
 空を仰げば何億光年先からの鋭い光。自然の演じる光や色や、ささやきは毎晩毎夜、僕に語りかけ、決して飽きることのない海上の日々であった。

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