ワタの旅と冒険-2 アフリカ偏(Ⅵ グリーンの制服-1)
このブログは一つの物語です。
初めての方は、1からお読み下さい。
ガーナの西にベナンという、「イャー」とウルトラマンに投げられる怪獣のような名の小国がある。ホルトノボという訳の分からん名が首都だ。コートジボワールやガーナに比べたら、かなりの田舎で植民地時代が少なかったせいか、アフリカ色の濃いアフリカそのものの国である。サラサを腰に巻いただけの土人が多く、市場には人がごったがえしていた。また、妙な食べ物も多く、好奇心を誘った。
街をぶらぶらしていると、若い男が寄って来て、「フレンド、フレンド」と僕にまとわりつく。しょうがないので旨い物を食わせる食堂などを教わっては、彼におごっていた。
「まぁ、大した金額じゃないし、街の様子も分かるから良いや」
「あっ!」と、思っていた。だが、この男、食堂で食っている僕の隣へ座っていたが、テーブルの上に置いてあったカメラを握ると、サッ、と一目散に駆けだした。
と、突然の事にあっけにとられていたが、僕も彼を追って走る。街を駆ける原地人、それを追う東洋人。僕の方が速く、道で彼に飛びつくと、足払いをして、柔道の締め技をかけた。「くくっ!」街の真ん中である。何処からか人がワイワイ言って集って来た。街中の人間が集っているのではないか、と思う程、黒山の人がたかり、僕らを見降ろしていた。「はっ!」と額を上げると、土人に顔がいっぱいあって、一瞬ドキッとするが、この男、この街の札付きらしく、誰も彼を助けようとはしない。急に気味悪くなった僕は彼を離して立ち上ると、土人らの輪の中で、さりげない顔をして服の埃を落としていた。すると、土人の人ごみの中から、人をかき分けて白い髭を蓄えた長老の爺さんと、その取り巻きであろう、眼付きの鋭い若い土人らが出て来た。そして、この水戸黄門のような爺さんは、
「東洋の人よ、この男が何かしたか?」
という意味らしき事を言った。
「このカメラを取った」
と、カメラを長老の目の前に突き出して言うと、長老は、キッ、と道路にしゃがみ込んでいる男の方を睨み、
「ポリスを呼べ」
と、言った。
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