2015年10月2日金曜日

ワタの旅と冒険-2 アフリカ偏(Ⅳ 象牙海岸の月-2)

ワタの旅と冒険-2 アフリカ偏(Ⅳ 象牙海岸の月-2)


このブログは一つの物語です。
初めての方は、1からお読み下さい。


彼女の顔パスで入ったディスコホールには彼女と同じような色をした、ハーフの男女が大勢居た。植民地時代が生んだ“落し子”、いや、落し孫だろうか。
 その後、何軒か店を変え、ブルーやレッドのネオンの中、ひさしぶりに酔い、気分の良い思いをした僕は、彼女のアパートに居た。一DKの簡素な部屋で、天井が高くプロペラのような三枚羽根の扇風機が廻っていた。家具もほとんどなく、コンクリートの白い壁ばかり目についた。二階である。一階は倉庫か納屋になっているらしく、ベランダから覗くとワイワイ言って人が通り過ぎ、夜明けと同時に人の声で眼が覚めた。

 長い停泊であった。船での当直を済すと、彼女のアパートへ通い、街をぶらつき、疲れると彼女のアパートにひっくり返った。彼女は下着のままノートをとって勉強していた。試験が近いなどとも言っていた。暑い日が続いた。
 深夜、眠っていると突然、けたたましくドアが開いて、白人の大男が入ってきた。男はベッドに近づくと、もの凄い声でわめきながら、女を引きずり出した。顔は真っ赤だ。彼はわめきちらしながら女の頬っぺたをバンバンと殴った。女は怯えながら、
「この、ジャポネは、カンフー、カラテができる」
と叫び、男の胸を突くが、男は彼女の肩をつかむと、再び強くビンタンをはつった。なおもつかみかかろう、とする男の手を逃れ、女は窓からベランダへ逃げた。素裸だ。それを追う男。

 その間、素早く僕は服を着ると、窓からバッ、と飛び出て男を追いかける。ベランダごしに螺旋階段を伝って一階の納屋に駆け下りると、男が振り向き、立ち止った。ぐっ、と僕を睨みつけると、ゆっくりと歩いて向って来た。

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