2015年9月21日月曜日

ワタの旅と冒険-2 アフリカ偏(Ⅰ.ブラック大陸4)

ワタの旅と冒険-2 アフリカ偏(Ⅰ.ブラック大陸4)


このブログは一つの物語です。
初めての方は、1からお読み下さい。

ワタの旅と冒険-1



「ユーアー、ツーリスト?(あんた、旅人かい?)」
と尋ねるので、
「イエス(そん通りや)」
と、答え、何日か通って来れると言おうとしたが、おっさんは
「ウムウム」
と頷いて口の中を覗く。すると、突然、大きなペンチのようなものを握り、虫歯のある奥の歯を、ぐっ、と挟むと、グリグリと揺さぶりだした。突然のあまりの痛さにびっくりした僕は「どうした?何がどうなった?」と考える暇もなく、脳神経にキリキリと鋭い痛みが走った。
「うわぁー」
もの凄い痛みに喉元から声を張りあげるが、おっさんは、さらにグリグリ歯をねじ回すと、今夜は歯を引っぱりだした。表面が虫歯になっているだけのしっかりとしたエナメルのデカイ歯である。そう簡単にぬけるものではない。まして麻酔なしである。
「ぐうー」
悲痛の声をあげる。口から頭蓋骨がスポッとぬけるんじゃないか?と思い、頭蓋骨がぬけ出た後のフニャフニャのゴム面みたいになった自分の顔が浮んだ。眼の前のおっさんの黒く太い腕は力を入れ込み、筋肉が盛り上っていた。眼がくらくらとして、眼の前がかすみだした頃、
「バチッ」
と、にぶい音がして、僕が幼い頃より大事に育ててきたピカピカの立派な白い歯が、カランカランと汚い金属(かね)の皿の上に投げ捨てられた。
 あまりの痛さに眼に涙が溜り、口からはドクドクとネバネバした濃い血が流れだした。結核患者のように口から血を流しながら、窓ガラスより透けて見える街の光景に目をやると土人がのんびりと歩いていた。
「ひどい目にあった・・・・・・」

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