2012年7月20日金曜日

41今どき破天荒な男達の物語

このブログは一つの物語です。

初めての方は、1からお読み下さい。
今どき破天荒な男たちの物語の1 

 こうした中野も、パンツ事件でオカルト好きの山下と別れる時、帰国する彼に金を借りていた。帰国後さっそく、山下の喫茶スイス・シャレーへ行くと
「長い事、すまんやったなぁ。金返すわぁ」
と言って、一握りの札束をジャンパーのポケットから出した。
不思議なことに、帰国後、彼は金を持っていた。ざっと百万はあろう大金である。奴は外国
で何をしていたのだろうか・・・?
「いくらだったかなぁ・・・?」と、知っているのにとぼけて聞くと、山下はチャプチャプ、コーヒーを洗いながら「ちぇっ!」知ってるくせに、という顔をして
「二十万じゃ!」と、吐き捨てるように言う。
「すまんやったなぁ・・・」よう覚えとったなぁ・・・という顔をして中野は二十万、指でめくって数えると山下に手渡した。そして、再び札束を眺めては「減ったなぁ・・・」と呟くので、僕が「金を渡したら減るのは当たり前じゃ」と笑いながらいうと「そうやな」と納得したように言い、札束をポケットへ入れた。そして僕は、中野と雑談していたが、ふと、カウンターに座っている僕の足元を見ると、一万円札の海であった。なんと彼は半分以上も落としていたのである。他の客は居なかった。

 このように、彼は金銭感覚があるようでない。
 また、彼がヨーロッパで買ってきたクライミングシューズを僕が買うことになって、僕がアラブ仕込みでそれを値切りたおすと結局一万五千円で値がついた。
山下のスイスシャレーのカウンターで、万札しか持ってなかった僕に彼が釣りの五千円札をくれることになった。ところが僕の方は、値切ったので中野が釣りの五千円札をくれないのでは・・・?と思い、中野の方は、靴をすでに握っている僕が金をくれないのでは・・・?と疑ってお互いに金を出さない。


僕が、「おい、金を出せ!」と言うと、「あんた 先、出しな」と中野が言う。「お前が出せば俺が出す」「嫌じゃ、あんたが出さんとわしも出さん」と二人で言い合う。
カウンター内の山下はコーヒーカップを洗いながら、チラッチラッと軽蔑の眼差しで見る。
結局、二人同時に金を出そうということになり、カウンターにパッと僕が二万円置く。すると中野もパッと五千円を置きお互い素早くサッと金を握る。そして「ほっ」良かったと息を吐く。山下は馬鹿にした眼でチラッチラッと見る。
「お前はアラブ人みたいな奴やからなぁ」と言えば
「アラブ人はあんたやろ」と中野が言い返す。アラブ人が聞いたら気を悪くする会話である。



0 件のコメント:

コメントを投稿