2012年7月6日金曜日

36今どき破天荒な男達の物語

このブログは一つの物語です。

初めての方は、1からお読み下さい。
今どき破天荒な男たちの物語の1 

                         III章

 こうして、僕らが青春を謳歌しながら楽しく暮らす日々が続いた頃、一人の男が東京国際空港に降り立った。 
 帰って参りました。中野雄二、丸四年ぶりの帰国である。
 彼はこちらへはすぐに帰らず、ヨーロッパで知り合った日本人登山家の紹介で臨時のアルペンガイドをするため、再び二週間ほどヨーロッパへ渡るということであった。
「へえー たいしたもんだなぁ、あいつプロガイドになったのか・・・」
と、仲間は皆んな羨望の眼差しをしていた。が、実態は登山コンダクター会社が南米のアコンカグア山で客もろとも遭難し、その時ガイドが何人か死亡したので、急に会社のスケジュールが組めなくなり、中野らが急きょ臨時ガイドとしてヨーロッパツアーに二回程同行するという話であった。おそらく、国際空港から東京に居る、ヨーロッパで知り合った登山家に飯でもおごってもらおうと電話してこの話を持ちこまれたものと思われる。このことをまだ知らぬ僕らに中野が東京から電話で、
「あのさぁ、僕さぁ、お客をマッターホルンへ連れて行かなきゃならないからさぁ、またすぐヨーロッパへ飛ばなきゃならないの、だから当分そちらへ帰れないからさぁ、皆んなに宜しく言っといてよ・・・えっ?ガイド料?そんなぁ、たいしたことないよぉ。まぁ、仕事で山へ行けりゃ金額は問題じゃないけどね。しかし、君達、よくこんな暑い下界で働けるねぇ」と小憎たらしいことを言っていた。




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