ヴ イ バ ー ク
やみくもに落ちてこようとする
石に向って
喝!
絶壁は今日も僕らを遮り
困難という字をしっかり描いて
立ちはだかる
垂直の亀裂は氷が詰まり
挿し入れる人の手を
拒む。
気流はガスを呼び
視界を遮る。
もう何日、
この岩棚に座って居る。
カジカジの手袋は凍って石。
零下で金属がくっ付き合う。
足元は数百メートルの空間。
僕に翼があったなら
地獄の底から飛びぬけて
恋人の待つ暖かい部屋で
ワインを飲み
淡い髪から漂う薫りに
酔いしれる。
なんの感情も無く
雪が吹き込む。
恐ろしい静寂。
夢を見る瞼が凍る。
翼をつけたエンゼルが
あらわれるのを
じっと、待ち。
今も雪が、石が、
音もなく容赦なく
落ちてくる。
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