このブログは一つの物語です。
初めての方は、1からお読み下さい。
ワタの旅と冒険-1
こうして彼らと別れた僕は一人ポルトガルへと旅立ちマドリッドから一気にリスボンへと入った。
ポルトガルはざわざわとした東南アジアを思わせる雰囲気を持ったとしてもヨーロッパとは思えぬ国であった。街も埃がいっぱいで混雑していた。煙草屋で煙草を買うと、おばさんが「ヤポネスキー?」と言った。今まで「ヤポン」とか、「ハポネ」とか言われた事があったが、「ヤポネスキー?」と改めて呼ばれると自分がこの長ったらしい発音を持つ人種だとしみじみ思うと、「こりゃ、えらく遠くまで来てしもうたなぁー」と一人感慨にふけった。
太平洋を望む小城の丘は美しかった。南洋を思わせる、ヤシのような葉の間に沈む夕陽は、奥深い大西洋を黄金色に染めていった。海に突き出た真白い小城も徐々に徐々にと金色に染まっていった。ひさしぶりに海に沈む夕陽を眺めた僕はエキゾチックなリスボンの丘を後にして、ジブラルタル海峡を目ざして、夜行列車へと乗り込んだ。
混雑する列車の中、真夜、突然、吐き気をもよおし上から下と体中の水分をしっかり出しきってしまい微熱が出るような気がした。「こりゃいかん」と早朝、慌てて途中下車してセビリアの街へ降り立ち、めったに乗らないタクシーに乗り込むと「ポスピタル」を連発した。
大病院であった。待ち合い室でしばらく待たされた後、名前を叫ばれ採血などいろんな検査を済ませ、レントゲン室に入ると、巨大なレントゲンが有った。おかしな事に「パンツを脱げ」と言う。今までレントゲンを取る時下着は脱いだ事はなく、下着はフィルムには写らない、と思っていたので、「こりゃ、いいだろう?」と指さすが、「ノン、ノン」と言う。しかたなく、生まれたまんまの姿となって銭湯へ行った時みたいに前を押さえていたら、今度は手を上げろ、と言う。結局、キリストが十字架にぶら下った様な格好になり、
「ハイ チーズ」「ガシャン!」
彼らは下着がレントゲンに写るとでも思っているのだろうか?
また、しばらく待たされた後、再び名を呼ばれドアを開けると何かの面接のように長テーブルにずらーと五人程、医師が並んでいた。思わず緊張してしまう。
「キャンー スピーク イングリシュー?」
「イエス」
と答えると、イスパニア語でベラベラを話しかけてきた。何を考えとんのか・・・?全然分からん言葉である。首を傾しげると紙に魚の絵を画いて「これ、食ったかぁ?」と、指さす。「イエス」と答えると、今度は貝の絵を画いて見せる。「ノオ」。エビの絵を画いて差し出すと、「イエス」。皆、頭を見合わせ、「ウムウム」と頷く。
今度は上着を脱いで横になれ、と言う。若い女医さんが立ち上り、僕の腹をさわる。美人だ。おもわず腹が固くなる。すると、盲腸の所を押さえて「此処が痛いやろうー」と僕の顔をみつめる。別に悪くない所を切られては堪らないので「ノン」「ノン」と慌てて手を振る。後、彼らはベラベラと相談した後、「オッケー」と言って僕を部屋から出した。
何分か待って、薬局へ行き、薬を貰うように言われオレンジ色の子供が飲むようなシロップの水薬を貰い、会計はと受付へ行って海外旅行保険証を出そうとするが、「ノンノン」と言って手を振る。
結局、無料であった。国の保険がそういうふうになっているのか、僕が外国人で姿、格好が身すぼらしいので、無料であったのか、その辺のところは不明である。
僕は某大手保険会社の海外旅行保険というのに入っていたから、診料はすべて無料であった。大体、この保険は旅行用で危険な登山等は特別増しとなるのだが………シャモニー病院の入院、手術費もこの保険を使った。後、日本に帰って保険会社から自宅へ電話があり、
「どうなさいましたか?」
と尋ねてきたので、
「道を歩いていて転んだ」
と言えば
「そうですかぁ」
で済んだ。大儲けの保険会社の事だ、これぐらいは勘弁してもらおう。
僕はこれからの長い旅行計画を考えて、時々行っている絶食をする事にした。これで治るはずだ。期間は五日間とした。
初めての方は、1からお読み下さい。
ワタの旅と冒険-1
こうして彼らと別れた僕は一人ポルトガルへと旅立ちマドリッドから一気にリスボンへと入った。
ポルトガルはざわざわとした東南アジアを思わせる雰囲気を持ったとしてもヨーロッパとは思えぬ国であった。街も埃がいっぱいで混雑していた。煙草屋で煙草を買うと、おばさんが「ヤポネスキー?」と言った。今まで「ヤポン」とか、「ハポネ」とか言われた事があったが、「ヤポネスキー?」と改めて呼ばれると自分がこの長ったらしい発音を持つ人種だとしみじみ思うと、「こりゃ、えらく遠くまで来てしもうたなぁー」と一人感慨にふけった。
太平洋を望む小城の丘は美しかった。南洋を思わせる、ヤシのような葉の間に沈む夕陽は、奥深い大西洋を黄金色に染めていった。海に突き出た真白い小城も徐々に徐々にと金色に染まっていった。ひさしぶりに海に沈む夕陽を眺めた僕はエキゾチックなリスボンの丘を後にして、ジブラルタル海峡を目ざして、夜行列車へと乗り込んだ。
混雑する列車の中、真夜、突然、吐き気をもよおし上から下と体中の水分をしっかり出しきってしまい微熱が出るような気がした。「こりゃいかん」と早朝、慌てて途中下車してセビリアの街へ降り立ち、めったに乗らないタクシーに乗り込むと「ポスピタル」を連発した。
大病院であった。待ち合い室でしばらく待たされた後、名前を叫ばれ採血などいろんな検査を済ませ、レントゲン室に入ると、巨大なレントゲンが有った。おかしな事に「パンツを脱げ」と言う。今までレントゲンを取る時下着は脱いだ事はなく、下着はフィルムには写らない、と思っていたので、「こりゃ、いいだろう?」と指さすが、「ノン、ノン」と言う。しかたなく、生まれたまんまの姿となって銭湯へ行った時みたいに前を押さえていたら、今度は手を上げろ、と言う。結局、キリストが十字架にぶら下った様な格好になり、
「ハイ チーズ」「ガシャン!」
彼らは下着がレントゲンに写るとでも思っているのだろうか?
また、しばらく待たされた後、再び名を呼ばれドアを開けると何かの面接のように長テーブルにずらーと五人程、医師が並んでいた。思わず緊張してしまう。
「キャンー スピーク イングリシュー?」
「イエス」
と答えると、イスパニア語でベラベラを話しかけてきた。何を考えとんのか・・・?全然分からん言葉である。首を傾しげると紙に魚の絵を画いて「これ、食ったかぁ?」と、指さす。「イエス」と答えると、今度は貝の絵を画いて見せる。「ノオ」。エビの絵を画いて差し出すと、「イエス」。皆、頭を見合わせ、「ウムウム」と頷く。
今度は上着を脱いで横になれ、と言う。若い女医さんが立ち上り、僕の腹をさわる。美人だ。おもわず腹が固くなる。すると、盲腸の所を押さえて「此処が痛いやろうー」と僕の顔をみつめる。別に悪くない所を切られては堪らないので「ノン」「ノン」と慌てて手を振る。後、彼らはベラベラと相談した後、「オッケー」と言って僕を部屋から出した。
何分か待って、薬局へ行き、薬を貰うように言われオレンジ色の子供が飲むようなシロップの水薬を貰い、会計はと受付へ行って海外旅行保険証を出そうとするが、「ノンノン」と言って手を振る。
結局、無料であった。国の保険がそういうふうになっているのか、僕が外国人で姿、格好が身すぼらしいので、無料であったのか、その辺のところは不明である。
僕は某大手保険会社の海外旅行保険というのに入っていたから、診料はすべて無料であった。大体、この保険は旅行用で危険な登山等は特別増しとなるのだが………シャモニー病院の入院、手術費もこの保険を使った。後、日本に帰って保険会社から自宅へ電話があり、
「どうなさいましたか?」
と尋ねてきたので、
「道を歩いていて転んだ」
と言えば
「そうですかぁ」
で済んだ。大儲けの保険会社の事だ、これぐらいは勘弁してもらおう。
僕はこれからの長い旅行計画を考えて、時々行っている絶食をする事にした。これで治るはずだ。期間は五日間とした。



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