このブログは一つの物語です。
中野は在学中、ネパールへ行き、ますます凄さを増したが、一様、卒業すると、コーヒーや軽食品を喫茶店などに卸す、会社の営業マンになった。そして、よく僕の家にコーヒー豆やアイスクリームなどの営業用商品を気前よく持って来ていた。
彼は営業用のインスタントカレーやアイスクリームなどをアパートに持って帰り、それで生活していたようであった。が、彼は学生の頃から良い体格を生かしてアルバイトなど、よく働いた。土佐の人間らしく、今もそうであるがよく働く男である。
ある日、僕らの山岳会と他の山岳会との合同コンペが湖の奥で開かれることになった。僕らの山岳会は女人禁制なので、女の娘の多い山岳会を呼んでは合同コンペをする機会が多かったのだ。
「肉をいっぱい買ってくるからな、早く来ないとなくなるぜ!」
と僕は彼に言っていたが、彼は“営業”なので遅くなると言い、出来るだけ早く行くとも言っていた。
夕方、心地よい風とともに宴会は盛りあがり、会話も弾み、若い娘らは白い歯を出してよく笑った。そろそろ歌が出そうな雰囲気であった。山奥の湖は夕陽に照らされキラキラと輝いていた。
その美しい湖畔の傍らを誰か?駆けてくる。
「なんだろう?」
食べかけの肉を箸に挟んだまま、目を細めてよく見ると、縞縞のデカパン一枚で走って来る中野の姿があった。手に服らしいものを抱え、足には皮靴を履いていた。パンツ一枚の裸の姿に黒い皮靴というのは、なんてアンバランスに写るんだろう・・・と僕はぼんやりと見とれていた。
「ああ、遅うなった、遅うなった」
と、ふうふう息を切らし、汗を流しながら彼が来て、来ると、いなや挨拶もせずバクバクと肉を食いだした。
皆んな彼の、とっぴもない姿にいっぺんに白け、声も出さず黙って中野を見ていた。誰も彼の姿を尋ねることもなく、ただ見ていた。
僕は汗を流しながら黙々と肉を頬張る中野の横顔を観察しながら、次の結論に達した。
以下、彼のロジック。○?早く行かないと肉がなくなる。○?車は奥まで入らないから何キロか歩かねばならない。○?遅くなる、どうしよう?肉がなくなる。○?走って行こうか?○?駄目だ!走れば汗が出る。汗が出れば仕事用のシャツもズボンもネクタイも一着しかない、汚れてしまっては明日仕事に着ていけない(おそらく彼は休日に一張羅を洗濯していたのである)。○?そうだ!シャツとズボンを手に持って走っていけば良い。これで早く着けて肉が充分食える。服も汚さずに済む。うん、俺は頭がいい。
大体こんなところであろう。しかし、いくら焼肉のためとはいえ、同じ年頃の女の娘らの居る前で汚いパンツ姿でなんともないというのが、よく理解できない。この場合、単に普段着を持って来れば済むことだが・・・。
中野は在学中、ネパールへ行き、ますます凄さを増したが、一様、卒業すると、コーヒーや軽食品を喫茶店などに卸す、会社の営業マンになった。そして、よく僕の家にコーヒー豆やアイスクリームなどの営業用商品を気前よく持って来ていた。
彼は営業用のインスタントカレーやアイスクリームなどをアパートに持って帰り、それで生活していたようであった。が、彼は学生の頃から良い体格を生かしてアルバイトなど、よく働いた。土佐の人間らしく、今もそうであるがよく働く男である。
ある日、僕らの山岳会と他の山岳会との合同コンペが湖の奥で開かれることになった。僕らの山岳会は女人禁制なので、女の娘の多い山岳会を呼んでは合同コンペをする機会が多かったのだ。
「肉をいっぱい買ってくるからな、早く来ないとなくなるぜ!」
と僕は彼に言っていたが、彼は“営業”なので遅くなると言い、出来るだけ早く行くとも言っていた。
夕方、心地よい風とともに宴会は盛りあがり、会話も弾み、若い娘らは白い歯を出してよく笑った。そろそろ歌が出そうな雰囲気であった。山奥の湖は夕陽に照らされキラキラと輝いていた。
その美しい湖畔の傍らを誰か?駆けてくる。
「なんだろう?」
食べかけの肉を箸に挟んだまま、目を細めてよく見ると、縞縞のデカパン一枚で走って来る中野の姿があった。手に服らしいものを抱え、足には皮靴を履いていた。パンツ一枚の裸の姿に黒い皮靴というのは、なんてアンバランスに写るんだろう・・・と僕はぼんやりと見とれていた。
「ああ、遅うなった、遅うなった」
と、ふうふう息を切らし、汗を流しながら彼が来て、来ると、いなや挨拶もせずバクバクと肉を食いだした。
皆んな彼の、とっぴもない姿にいっぺんに白け、声も出さず黙って中野を見ていた。誰も彼の姿を尋ねることもなく、ただ見ていた。
僕は汗を流しながら黙々と肉を頬張る中野の横顔を観察しながら、次の結論に達した。
以下、彼のロジック。○?早く行かないと肉がなくなる。○?車は奥まで入らないから何キロか歩かねばならない。○?遅くなる、どうしよう?肉がなくなる。○?走って行こうか?○?駄目だ!走れば汗が出る。汗が出れば仕事用のシャツもズボンもネクタイも一着しかない、汚れてしまっては明日仕事に着ていけない(おそらく彼は休日に一張羅を洗濯していたのである)。○?そうだ!シャツとズボンを手に持って走っていけば良い。これで早く着けて肉が充分食える。服も汚さずに済む。うん、俺は頭がいい。
大体こんなところであろう。しかし、いくら焼肉のためとはいえ、同じ年頃の女の娘らの居る前で汚いパンツ姿でなんともないというのが、よく理解できない。この場合、単に普段着を持って来れば済むことだが・・・。

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