このブログは一つの物語です。
この頃の彼の普段着はモスグリーンの半袖のサファリージャケットである。下はGパン。これを春夏秋冬着ていたようであった。冬はこの半袖のペラペラのジャケットの下に黒っぽい毛糸のセータを着ていた。むろんセータは長袖である。
彼は山の装備やウエアーを買う金は惜しまず、また高い交通費を使ってよく山へ出掛けたが、地上の生活においては極限的に貧相であった。
ある年の正月、たいがい、僕らは山へ行くが、正月前に遭難事故があったので自粛して、同じクラブの先輩の家へ行っておせち料理をよばれることになった。その時も他の山岳会の女の娘らが多勢来ていた。彼女らは綺麗に振袖で着飾っていた。
中野はあい変わらずしこたま飲んで食っていた。彼は普段は酒は飲まぬが、人のおごりだと飲む。自分で買って飲んだことのない酒飲みである。彼はビールが好きで、飲む時は大抵ビールを飲んでいた。その中野の好きなビールがなくなったので奥の台所に向かって、
「ビールがなくなったなぁー」
と、わざとらしい大きな声で言う。が、彼という人間をよく知っている先輩の奥さんは
「ビールはもうありませんよ。お酒を飲みなさい」
と言うが
「買ってくればあるのになぁー」
と、また台所の方に向かって大きな声で言う。奥さんも負けてはおらず
「買ってきません!」
と返答する。
そしてさんざん一人でパクパク食った中野は橋を置くと、ごろっと寝転がり
「ああ、食った食った、食いすぎてあげそうやー」と気味悪い腹をだして寝転ぶ。
奥さんは自分の山岳会の後輩の女の娘らに食べさせようと、腕をふるって作った御馳走を馬
みたいな男に味も分からず食われ、あげくの果てにあげそうなどと言われ、顔が怒りでいっぱいである。
その後、彼は寝っ転がり、皆んながようやく会話に花を咲かせだした頃、むくっ、と立ち上がったかと思うと、急にピョンピョンとジャンプをしだした。
皆んな、一瞬、「ギクッ」として彼を見たが誰も取り合わず会話を続ける。話をしながら女の娘を意識し過ぎる歯科技工師の三郎がチラッと横目で見ては「馬鹿が!」という顔をしていた。誰も彼の行動を尋ねもせず、止めもせず、全くの無視であった。
しばらく、ピョンピョンと部屋中を飛び廻っていた中野は、今度はサッとトイレへの方へ行く。そして、トイレから出てくると、「ああ、さっぱりした」と呟き、またムシャムシャと食べだした。
今の彼の行動を再び僕が観察すると、○?食い過ぎて「もう腹に入らぬが、なんとしてもこういうカロリーに恵まれたチャンスはない。そこで○?ぴょんぴょんジャンプすることにより、
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食べたものを胃から腸へと下げる。○?トイレに行って出す。○?再び、胃袋に入れる。というロジックであろう。彼は食っても食っても食い溜めをする牛のような胃袋を持っているようであった。
この頃の彼の普段着はモスグリーンの半袖のサファリージャケットである。下はGパン。これを春夏秋冬着ていたようであった。冬はこの半袖のペラペラのジャケットの下に黒っぽい毛糸のセータを着ていた。むろんセータは長袖である。
彼は山の装備やウエアーを買う金は惜しまず、また高い交通費を使ってよく山へ出掛けたが、地上の生活においては極限的に貧相であった。
ある年の正月、たいがい、僕らは山へ行くが、正月前に遭難事故があったので自粛して、同じクラブの先輩の家へ行っておせち料理をよばれることになった。その時も他の山岳会の女の娘らが多勢来ていた。彼女らは綺麗に振袖で着飾っていた。
中野はあい変わらずしこたま飲んで食っていた。彼は普段は酒は飲まぬが、人のおごりだと飲む。自分で買って飲んだことのない酒飲みである。彼はビールが好きで、飲む時は大抵ビールを飲んでいた。その中野の好きなビールがなくなったので奥の台所に向かって、
「ビールがなくなったなぁー」
と、わざとらしい大きな声で言う。が、彼という人間をよく知っている先輩の奥さんは
「ビールはもうありませんよ。お酒を飲みなさい」
と言うが
「買ってくればあるのになぁー」
と、また台所の方に向かって大きな声で言う。奥さんも負けてはおらず
「買ってきません!」
と返答する。
そしてさんざん一人でパクパク食った中野は橋を置くと、ごろっと寝転がり
「ああ、食った食った、食いすぎてあげそうやー」と気味悪い腹をだして寝転ぶ。
奥さんは自分の山岳会の後輩の女の娘らに食べさせようと、腕をふるって作った御馳走を馬
みたいな男に味も分からず食われ、あげくの果てにあげそうなどと言われ、顔が怒りでいっぱいである。
その後、彼は寝っ転がり、皆んながようやく会話に花を咲かせだした頃、むくっ、と立ち上がったかと思うと、急にピョンピョンとジャンプをしだした。
皆んな、一瞬、「ギクッ」として彼を見たが誰も取り合わず会話を続ける。話をしながら女の娘を意識し過ぎる歯科技工師の三郎がチラッと横目で見ては「馬鹿が!」という顔をしていた。誰も彼の行動を尋ねもせず、止めもせず、全くの無視であった。
しばらく、ピョンピョンと部屋中を飛び廻っていた中野は、今度はサッとトイレへの方へ行く。そして、トイレから出てくると、「ああ、さっぱりした」と呟き、またムシャムシャと食べだした。
今の彼の行動を再び僕が観察すると、○?食い過ぎて「もう腹に入らぬが、なんとしてもこういうカロリーに恵まれたチャンスはない。そこで○?ぴょんぴょんジャンプすることにより、
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食べたものを胃から腸へと下げる。○?トイレに行って出す。○?再び、胃袋に入れる。というロジックであろう。彼は食っても食っても食い溜めをする牛のような胃袋を持っているようであった。
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