2012年8月15日水曜日

46今どき破天荒な男達の物語

このブログは一つの物語です。

初めての方は、1からお読み下さい。
今どき破天荒な男たちの物語の1 

 こうして繁盛しだした弁当屋は一人では手におえなくなり、学生アルバイトの女の娘を雇うようになった。が、そのアルバイトの女の娘らはあまり長続きしないようであった。それを中野がぶつぶつと
「最近の若い娘はあかんなぁ、すぐやめるわぁ」
と一人前のことを言っていたので
「お前?なにかするんじゃないのか?」と尋ねると
「わしが何をするかい。たまに尻を撫ぜるぐらいやないかい」と、さも怒ったように答える。
――それが原因じゃ。
 この弁当屋の界隈は学校が多く、小、中高学生らがよく登下校していた。中野は、女子高生を見ては、
「可愛いいなぁ・・・」
と、いやらしい目をして通りすがる女子高生らを品定めしていたがセーラー服を着た外人の留学生が通ると、
「あっ、毛唐や!毛唐が歩いとる。見てっ!」
と、パリに何年も住んでいた男が山奥の樵(きこり)のおっさんみたいに大声で叫ぶ。
 彼は彼女らをじぃーと見ているだけじゃなく、声も掛けていて、女子学生らに「くすくす」と笑われていたが、近所のガキには完璧に馬鹿にされていた。
 また、この弁当屋の前に、ヤッちゃんの事務所があった。事務所といってもタダのプレハブであるが一応、「~組」と看板は掛っていた。此処の組は昔は名門だったらしいが、親分が殺され、さっぱり落ちぶれてしまったというヤクザ屋さんである。いつも若いのが二、三人ゴロゴロしているようであるが中野に言わすれば
「この間、トラックの運ちゃんらがそこに殴り込みに来たが、運ちゃんらが事務所の前で怒鳴りちらして帰ろうとすると、急に事務所の窓から顔を出してわぁわぁ言っとった。情けないヤクザや・・・」と、いうことである。
 僕も、中野の弁当屋へ寄るのに、車を組事務所の前の道路に駐車していたら“此処は駐車禁止や、事務所まで来い”と置き手紙が置いてあった。頭にきた僕は、さっそく知り合いの運道具屋へ行き、「木刀の一番長いやつをくれ!」と言って樫の木の木刀を買うと、車の後部座席にほったり投げると再び組事務所の前の道路に駐車して、「バーン!」と力強くドアを閉め、肩をいからせて中野の弁当屋へ入った。何か言ってくるかな?と思って組事務所の方を見ていると、白い七分袖を着た若いチンピラみたいなのがプレハブの中から出てきて、車の中を覗きこんでいたが、座席の木刀を見てギョッとしたのか慌てて事務所へ戻って行った。



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