このブログは一つの物語です。
また、彼は非情な程度胸が良く、雪道を車で走る時などもなかなかチェーンは巻かない。
山行の途中、路面にびっしりと雪が積もりだしたので皆んなでチェーンを巻こうと車を止めにかかると、後部座席から「かまわん、行け!」ともの凄い声を出す。が、彼も真冬、仕事の帰り、山道で田んぼに車を落としとぼとぼと歩いていたという目撃者もいる。
僕らが登山や遠征に行く時も少々危険な岩壁や山岳でも
「かまわん、行け、行ってみりゃなんとかなる」と言う。が、さすがに厳しい所になると
「おい、お前ら、今度は生きて帰れんかも知れんから子供でも残しとけ!」と独身の僕らに訳の分からんことを真面目な顔をして言う。
彼は結婚する時、相手側の両親に猛反対されたので彼女を「これでもか、これでもかっ」と攻めまくり妊娠させ、その両親を「うむー」と唸らせたというエピソードも持つ男である。
この奇想天外の山さん、人と話すのが大層好きで、建築工事で、知り合いの家や職場へ行くと話し込んで仕事にならない。以前、弟と同じように喫茶店をしていたことがあるが、「コーヒーを下さい」と注文する客そっちのけで、友人らと議論白熱をしていた。喋りだしたら止まらない性格なのだ。が、また話題も豊富で、おもしろいから人も彼と話したがるようであった。
この話し好きの山さんを気に入ってか、哲学者竹本という、僕らより幾らか年上の哲学の研究をしている青年が、僕らの山行にちょくちょくついて来るようになった。彼は非常に痩せていたが、僕らが岩登りを教えてやると「死ぬー死ぬー」と言いながら本当に死にながら登って来ていた。難しい山ではないのでそう足手まといにはならなかったが、困ったことに僕らが街から離れ、山に囲まれ雄大な気分を味わっている時に難しい話をする。山さんがまた聞いてやるもんだから理屈ばかり雲の切れ間に並べやがる。
「おい竹さん、この景色を見てみろよ!哲学もクソも関係ないぜ!」と、青い空の中に浮かぶ山々を仰ぎながら言うと、彼もふっ、と黙りだすがまた一時(いっとき)したら喋りだす。
また、彼は非情な程度胸が良く、雪道を車で走る時などもなかなかチェーンは巻かない。
山行の途中、路面にびっしりと雪が積もりだしたので皆んなでチェーンを巻こうと車を止めにかかると、後部座席から「かまわん、行け!」ともの凄い声を出す。が、彼も真冬、仕事の帰り、山道で田んぼに車を落としとぼとぼと歩いていたという目撃者もいる。
僕らが登山や遠征に行く時も少々危険な岩壁や山岳でも
「かまわん、行け、行ってみりゃなんとかなる」と言う。が、さすがに厳しい所になると
「おい、お前ら、今度は生きて帰れんかも知れんから子供でも残しとけ!」と独身の僕らに訳の分からんことを真面目な顔をして言う。
彼は結婚する時、相手側の両親に猛反対されたので彼女を「これでもか、これでもかっ」と攻めまくり妊娠させ、その両親を「うむー」と唸らせたというエピソードも持つ男である。
この奇想天外の山さん、人と話すのが大層好きで、建築工事で、知り合いの家や職場へ行くと話し込んで仕事にならない。以前、弟と同じように喫茶店をしていたことがあるが、「コーヒーを下さい」と注文する客そっちのけで、友人らと議論白熱をしていた。喋りだしたら止まらない性格なのだ。が、また話題も豊富で、おもしろいから人も彼と話したがるようであった。
この話し好きの山さんを気に入ってか、哲学者竹本という、僕らより幾らか年上の哲学の研究をしている青年が、僕らの山行にちょくちょくついて来るようになった。彼は非常に痩せていたが、僕らが岩登りを教えてやると「死ぬー死ぬー」と言いながら本当に死にながら登って来ていた。難しい山ではないのでそう足手まといにはならなかったが、困ったことに僕らが街から離れ、山に囲まれ雄大な気分を味わっている時に難しい話をする。山さんがまた聞いてやるもんだから理屈ばかり雲の切れ間に並べやがる。
「おい竹さん、この景色を見てみろよ!哲学もクソも関係ないぜ!」と、青い空の中に浮かぶ山々を仰ぎながら言うと、彼もふっ、と黙りだすがまた一時(いっとき)したら喋りだす。
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