2011年12月17日土曜日

ワタの旅と冒険-21(けぶる街並-2)

このブログは一つの物語です。
初めての方は、1からお読み下さい。
ワタの旅と冒険-1


 列車はすべて、ユーレル・パスを使っていたので何に乗ろうが、すべてパスであった。ヨーロッパではコンパートメントの四人部屋が多かったが、薄汚い格好をして髭を生やした訳の分からん東洋人が座っているのだ。皆、遠慮しがちであった。おかげで、かなりゆたっと寝れたが、可愛い娘が入って来てロマンスでも・・・・・・という淡い期待は望めなかった。若い娘が窓ごしに見えると、サッと座席の回りを片付け、澄まして座っているが、娘の方は僕を見ると、ギョッとして隣の部屋へ行ってしまう。
 アムステルダムから同行していた日本人がいたが、有田陶器をやっている人で北欧に三年程、ガラス陶器の修行にやって来ていた、と言い、有田と北欧ガラスの合体したものを創った、とも言っていた。作品を見せてもらったが、初めて見る美しいものであった。有田特有の紅や青の色合いが北欧のスリガラスの中に溶け込み、幻想的な調和をかもしだしていた。僕はその色彩の美しさと、ガラスの透明な質感に打たれ、この作家を真剣に尊敬してしまった。が、しばらく話題がとぎれた後、この尊敬する陶芸家の先生は、目をキラキラさせ黙々とポルノ雑誌をめくっていた。

広場とサイクリスト


 古い街へ幾つも行った。何処もバロック建築らしく教会に似た建造物と紅茶けた瓦で統一されていた。大きな都市には、街の中心に河が流れ、アーチ型のシックな橋が幾つもかかっていた。季節がらであろうか、夕刻になると霧雨がかかり、街全体が、しっとりと濡れぼそり、乳白色にけぶっていた。気に入った街があると、そこに泊った。むろんホテルは高いから泊らない。上品な街は駅も鍵を降ろす。そういう時は大抵、公園で野宿した。浮浪者は居なく、犬も歩かぬ大都会の中、星を数えては眠った。
 ヨーロッパの旅も終わりつつあった。眼の廻るように駆け巡ったE・Cの国々や街々。忙しく長い日々は過ぎ、ヨーロッパは長い冬を向えようとしていた。




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