2013年4月10日水曜日

77今どき破天荒な男達の物語

 ようやく片付いた新しいアパートで、皆んなでビールでも飲もうかと思った頃、
「ピンポーン」
と中野が訪れる。
「いやぁ、もう終わったのかい?早いなぁ」
と、とぼけて入るが、何処の世界に夕方から引越しをする家があろうか、夜逃げじゃねえかそれじゃ。
「いやぁ、遅うなった、遅うなった」
と何時(いつ)もの調子で、ホテルから貰った?というビールケースを抱えて部屋へ入って来るが、このように彼はわりと景気が良い時は気前良く、お土産を下げてくる時があった。彼の家は土佐で農業をしているが、田舎から送ってきた果物なぞをよく
「これはあんたにやるんやないんやぜ。あんたのお袋にあげるんやぜ」
と、しつこく念を押して僕にくれたりしていた。
 彼は自分の里のことはあまり喋らないが七人兄弟の五番目ぐらいらしい。
「わしはどうでもいい身分なんや」


と威張っていたが、彼の他の兄弟も一人ぐらいは見たいものである。女の兄弟がいたらどうしよう。そういう人とは生涯、御対面を御遠慮したいものである。おもわず吹き出しそうになってしまう。

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