インド洋は透き通り、大きくうねる。太平洋にはない優しさがある。
グリーン、グリーンの海、海原である。
人に顔があるように、海にもそれぞれ顔があった。
太平洋は明るく陽性でブルー一色。大西洋は暗く、陰鬱な雰囲気の漂う濃紺。
インド洋は、すべからく濃いグリーン。グリーンの波が大きくうねり、起伏をもって漂う大きな草原のような海である。
ミクロネシアの珊瑚礁の海は薄い黄緑。キラキラと太陽の光が海中の奥深くまで透き通る。海というより清涼飲料水に近い特別の液体を思わせる。
この十種十色の海原の上に、また十種十色の雲が浮かぶ。
南方の雲は、すべて縮れ雲でソフトクリームのように頭がぐにゃぐにゃになっている。
下方がスポッと、水平線に平行に切れ、小さな縮れ雲が、幾つも幾つも、同じ間隔を持って、水平線の彼方まで続いている。
入道雲と呼ばれる積乱雲は白いが、水分をたっぷりと含み重そうに今にも落ちて来そうな雲は、虫歯のように黒い。
この雲から落ちてくる壮烈な雨はスコールと呼ばれ、小指程の太い雨の玉をボトボト落とし始める。
ビューと風が吹く。風が突風に変わり、かなり激しく吹いてくると、一面、真っ暗となる。
天の電燈すべてを消したような日中の暗黒。ザァーッともの凄い勢いで雨が降りだす。
大粒の雨がバチバチと顔に当たり、デッキ一面、洪水のような水びたしとなる。
これが、ほんの数分も過ぎると、カラッと陽が照り太陽が見え、天の電源が入る。
スコールぐらいは可愛いもので、嵐となれば地獄絵巻となる。
空一面、グレーの雲が覆い、その後方に真っ黒い雲が浮かび、雲の奥深くから稲妻が走る。
ピカッ、と光る稲妻はゴールドのギダギダの光を四方八方へ走らせ、海に、ドーンーと放電する。
まさしく、天が割れた、と思わせる程の天の切れ具合い。
水平線に虹が掛かる。虹の端というものを見たくて、少年の頃、自転車に乗って丘を駆けた覚えがある。
実際に水平線や地平線に虹が掛かると、水面や地面の下に、まだ続きの光を隠しているんじゃないか?と思える程、くっきりと水平線に真半分で仕切られる。
水面下の虹は別の世界が所有しているのか。
海々の朝焼け、夕焼けもまた、十色である。十色どころか、毎日の気候、気温、湿度によって刻々と変化する。
朝焼けはブルー、夕焼けはオレンジが主体となる。
絵具やネオンでは見た事もない、とうてい人間が創り出せないであろう色合いが、次から次へと演出される。
朝、夕焼けとも約二時間、この大ドラマは毎日、演出される。
昔の人は夕焼けの奥に極楽浄土や桃源郷を見たという。
僕も缶ビールを飲みながら、刻々と変化するこの絶景を眺めていると、あの色彩の奥深くに別世界があるのでは・・・というような錯覚におそわれてくる。
何もなければ、あんなに美しい色彩が出てくるはずがない。
陽が沈むと、星がぐわー、と群棲する。南半球のあらゆる星座が集まり大パノラマとなる。
星がデカイのだ。光星が多く、キラキラと空いっばいに輝く。
これも、また人間が創り得ない最高の輝きである。
宇宙が近いのを間近に感じる大気の透き通る闇の中、オールスターキャスト星座、宇宙の大演出である。
星を眺めるのに飽きたら、海を眺める。夜の海は音を吸い込み、波が声を出す。
船体が切る波の音と、潮がうねる波の音とがぶつかり合い、独特のシンフォニーとなって、吸い込まれるような、海の中より響いてくる。
海面には夜光虫がキラキラと光り、船体の切る波にのまれ、消えてはまた光る。海一面、キラキラの海蛍。
空を仰げば何億光年先からの鋭い光。
自然の演じる光や色や、ささやきは毎晩毎夜、僕に語りかけ、決して飽きることのない海上の日々であった。
グリーン、グリーンの海、海原である。
人に顔があるように、海にもそれぞれ顔があった。
太平洋は明るく陽性でブルー一色。大西洋は暗く、陰鬱な雰囲気の漂う濃紺。
インド洋は、すべからく濃いグリーン。グリーンの波が大きくうねり、起伏をもって漂う大きな草原のような海である。
ミクロネシアの珊瑚礁の海は薄い黄緑。キラキラと太陽の光が海中の奥深くまで透き通る。海というより清涼飲料水に近い特別の液体を思わせる。
この十種十色の海原の上に、また十種十色の雲が浮かぶ。
南方の雲は、すべて縮れ雲でソフトクリームのように頭がぐにゃぐにゃになっている。
下方がスポッと、水平線に平行に切れ、小さな縮れ雲が、幾つも幾つも、同じ間隔を持って、水平線の彼方まで続いている。
入道雲と呼ばれる積乱雲は白いが、水分をたっぷりと含み重そうに今にも落ちて来そうな雲は、虫歯のように黒い。
この雲から落ちてくる壮烈な雨はスコールと呼ばれ、小指程の太い雨の玉をボトボト落とし始める。
ビューと風が吹く。風が突風に変わり、かなり激しく吹いてくると、一面、真っ暗となる。
天の電燈すべてを消したような日中の暗黒。ザァーッともの凄い勢いで雨が降りだす。
大粒の雨がバチバチと顔に当たり、デッキ一面、洪水のような水びたしとなる。
これが、ほんの数分も過ぎると、カラッと陽が照り太陽が見え、天の電源が入る。
スコールぐらいは可愛いもので、嵐となれば地獄絵巻となる。
空一面、グレーの雲が覆い、その後方に真っ黒い雲が浮かび、雲の奥深くから稲妻が走る。
ピカッ、と光る稲妻はゴールドのギダギダの光を四方八方へ走らせ、海に、ドーンーと放電する。
まさしく、天が割れた、と思わせる程の天の切れ具合い。
水平線に虹が掛かる。虹の端というものを見たくて、少年の頃、自転車に乗って丘を駆けた覚えがある。
実際に水平線や地平線に虹が掛かると、水面や地面の下に、まだ続きの光を隠しているんじゃないか?と思える程、くっきりと水平線に真半分で仕切られる。
水面下の虹は別の世界が所有しているのか。
海々の朝焼け、夕焼けもまた、十色である。十色どころか、毎日の気候、気温、湿度によって刻々と変化する。
朝焼けはブルー、夕焼けはオレンジが主体となる。
絵具やネオンでは見た事もない、とうてい人間が創り出せないであろう色合いが、次から次へと演出される。
朝、夕焼けとも約二時間、この大ドラマは毎日、演出される。
昔の人は夕焼けの奥に極楽浄土や桃源郷を見たという。
僕も缶ビールを飲みながら、刻々と変化するこの絶景を眺めていると、あの色彩の奥深くに別世界があるのでは・・・というような錯覚におそわれてくる。
何もなければ、あんなに美しい色彩が出てくるはずがない。
陽が沈むと、星がぐわー、と群棲する。南半球のあらゆる星座が集まり大パノラマとなる。
星がデカイのだ。光星が多く、キラキラと空いっばいに輝く。
これも、また人間が創り得ない最高の輝きである。
宇宙が近いのを間近に感じる大気の透き通る闇の中、オールスターキャスト星座、宇宙の大演出である。
星を眺めるのに飽きたら、海を眺める。夜の海は音を吸い込み、波が声を出す。
船体が切る波の音と、潮がうねる波の音とがぶつかり合い、独特のシンフォニーとなって、吸い込まれるような、海の中より響いてくる。
海面には夜光虫がキラキラと光り、船体の切る波にのまれ、消えてはまた光る。海一面、キラキラの海蛍。
空を仰げば何億光年先からの鋭い光。
自然の演じる光や色や、ささやきは毎晩毎夜、僕に語りかけ、決して飽きることのない海上の日々であった。
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