2011年9月20日火曜日

19今どき破天荒な男たちの物語

このブログは一つの物語です。

初めての方は、1からお読み下さい。
今どき破天荒な男たちの物語の1 


雪の降る寒い夜であった。雪が音を吸い、完璧に近い静閑さが襲っていた。三郎と二人でテントの中に入っていたが、あまりにもシーンと静まりかえっていたので、僕は彼を脅そうと、「おい、この辺りは幽霊が出るらしいぞ」と言うと「おっ!上等じゃねえか!二人で淋しかったから話相手になるじゃねえか、それに女だったら押さえ込んでやっちゃろうじゃねえか!」と、ひとつも驚かない。「お前、足のない幽霊とどうやってやるのか?」と僕が尋ねると「足がなくても股ぐらいはあろう、えっ!股ぐらいは、股さえありゃ良(い)いんじゃ!」と投げ捨てるように言う。僕は何も言わずごそごそと寝袋に潜り込む。小雪の舞う寒い寒い夜であった。

 彼はまた気性なのか、車の運転も乱暴で、彼と車に乗って山へ行くと、ビュンビュン飛ばし、雪道で車が二回転したこともあった。また、若いギャルの乗った車があると、「幅寄せ、幅寄せ」と言って、子供みたいな真似をする。
彼の乗っていたカローラはさんざんなもので、単なる道具としか思われてなかった。また彼はよく車のキイをなくす男で、行きつけの登山用具店の駐車場で車のキイをトランクに締め込むと、彼はその店から「ドリル、ドリル」と言ってドリルを借りてきて、トランクに「ドドドド」と穴を開け、トランクを開けてキイを取り出すとその穴と車体とを紐でくくり、バックン、バックンとうるさい音を立てながら走り去って行った。
このキイをよくなくす男は、山奥の岩峰へ言ってもまた車のキイをなくし、山奥の本当に山奥の、普通の車が入れぬ所までJAFを呼んだ。呼ぶ三郎もたいしたもんであるが、あそこまで来るJAFもたいしたもんである。



0 件のコメント:

コメントを投稿