このブログは一つの物語です。
初めての方は、1からお読み下さい。ワタの旅と冒険-1
早朝、朝霧の立ち込める乳白色の街中に備えられたスピーカから、コーランが響く。ホテルのベッドに横たわりながら毎朝、聞くがなかなかの節で酔わせるものがある。夕方も夕食の支度の煙がけぶる街中に鳴り渡る。このコーランに合わせ、彼らは夕日に向って礼拝する。目の前にコーランの教本を置いて、土に頭をつけ膝まづき、幾度も幾度もお辞儀する。この国では国王も泥棒も皆、熱心な回教徒である。
広い道の脇に乞食が何十人も並んでいた。すると、決して裕福そうでない普通のおばさんが、コーランを呟き、涙を流しながら一人一人の目の前に置いてある皿にお金を入れて歩いていた。乞食はさも、当り前のように威張って座っていた。人から金を貰うのは当然だと思っているのだ。これがアジババの大泥棒を生んだ快挙の哲学である。人は皆、平等であるから余分な物を持っている人は持ってない人に与えなければ……という事らしい。彼らはこの国では立派な職業人である。
僕の友人がインドへ行った時、目くらのいざりの乞食に金をやる真似をして、皿にある金を取っていたら、乞食が頭を下げながら目を開き、走って追いかけてきた、というが、彼のような男がいない限り乞食の生活は安泰となる。次から次と人が金を入れてゆく。
丁度、今の時期が断食期間である為、昼、食堂を探しても皆、閉じている。雑貨屋も閉まっている。そして、陽が暮れ始めると、何処からか、人がゾロゾロ出てきて、大人も子供も夜、三時位までワイワイ言って遊んでいる。
アラブの国があまり進歩しないはずである。彼らは働かないのだ。それにアラブで戦争が絶えないのも良く分かる。彼らの戦争、騒動などというものは彼らにとって祭りなのだ。人が「ワー」と叫べば「ワーワーワワワ」と池に石を投げたように波紋が広がる。突風が吹けば騒ぐし、ケンカでもあれば大イベンドとなり街中の人々が集まる。この国でアジゲーターは不用である。とにかく騒がしい民族だ。それに平気で嘘を言う。ある時、地図を持って「此処に行きたいんだけれど…」とバス停を探していると、おっさんが親切に教えてくれる。が、行くとバス停なぞはない。「おかしいなぁ?」と、また別のおっさんに聞くと全然、別の方角を教える。すると、さっきのおっさんが走って来て、「いや、違う」と言って、また全然別の方向を指さし、おっさん二人で喧嘩となる。――――――この、いいかげんさ。結局、僕は道を尋ねる時、五人程、叫び止めて尋ね、その統計をとるようにした。
今度はバスを待つが、太陽がギラギラ照りつける中、バス停に書かれた時刻が過ぎてもいっこうにバスは来ない。やがて次のバスの時刻になるが、また来ない。「おかしいなぁ……今日は休みかなぁ?」と、思っていると、夕方、陽も暮れかかり涼しくなる頃、バスが四、五台並んで修学旅行車のようにやってくる。一日分まとめて来るわけだ、涼しくなったから行こうか、という事らしい。馬鹿にした話である。その他、幾度かぼられたり、騙された事が続き、「くそーアラブ人め!」と僕は彼らに復讐を誓うようになった。

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