彼は雪焼けして帰って来ると、さっそくヤミのツアーを企画する。ヤミであるから当然安い。それに彼は大型二種自動車の免許も持っていたのでバスを自分で何百キロも運転して自分でスキーを教え、必要経費を一切出さず、体力にものを言わせ丸儲けしようともくろんでいたのである。
確かに彼のツアーは普通のスキーツアーの半額であった。そして僕ら仲間らに「頼むぜ、来てくれや!」と、しつこく誘っていた。僕も当然行くことになるが、
「向こうに着いたら滑りまくって練習しよう。お前に何か劣っているものがあるというのは、俺の一生の不覚だからな」と言っていたら、
「あんた、そんな事言って、女の娘が目当てなんやろう?」
「いや、スキーをしに行くからスキーをするのが目的や」
「ほっほっ、そういう男も居るんかい?」
「どういう意味だ?」
「スキーに行く九十九パーセントの男は皆、女の娘、目当てやぜ」
と、えらく自信を持って言っていたが、自分を基準に考えているんじゃねえのか?
確かに、どうせ行くなら可愛い女の娘がいっぱい居るツアーが最高だろう。が、このツアーには女性は多かったがそれらしい娘は一人も居なかった。
道中、小用のため関門大橋の近くのバスの溜まり場で止まり小休止したが、丁度、スキーツアーの真っ盛りで、やはり地元、大分からのバスも幾台も並んでいた。皆、キャアキャア騒いで記念写真などを撮ったりしていた。が、その娘らは可愛いのだ。擦れ違う女の娘らを皆、振り返らせる美人であった。
薄暗い広場の公衆便所で歯科技工師の三郎と小用しながら、
「おい、見たか?あのツアーには可愛い娘が多かったろう」
と、僕が言うと
「おお・・・」
と、三郎が身体を揺さぶりながら答える。
「同じスキーツアーでもえらい違いやなぁ。こっちにはあんな娘は一人も居らんぜ」
と、言うと、三郎は自棄、投げやりに、
「そりゃ、お前、金が違うよ金が!安いのに集まって来るのはそれなりの女が集まって来るんじゃ。エビの餌にはタイが食うが、ミミズにはハゲしか食いまい!」
と、もっともらしい酷いことを言ってスタスタと一人で歩いて行った。
一番頭にきているのは彼であった。彼は九十九パーセントの中にしっかりと含まれる男性の一人であったのである。
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