2012年9月12日水曜日

50今どき破天荒な男達の物語

このブログは一つの物語です。

初めての方は、1からお読み下さい。
今どき破天荒な男たちの物語の1 

と電話器の傍で両手を上げて嘆いている義兄に、どうしたんだろう・・・?と姉が尋ねる。
「いやぁ・・・どうも、頭のおかしい人から電話があって・・・」
義兄は額の汗を拭いながら答えると子供らが、
「ああー アホや、アホや、クレイジーや!」
とはしゃいで箸で茶碗を叩く。
「これっ!」
と言って夫婦で子供らを叱りつけているところへ、また
「リーン!」
とベルが鳴る。姉が
「もう出なさんな!ほっといたらいいわ」
と言うが几帳面な義兄は
「いや、父兄だったら悪いから」
と言って、再び電話器へ向かう。子供らがおもしろがってついて来る。
「また変な人やったら、すぐ切りなさいよ!」
と姉が御飯を口に入れながら言っている。
「はい、こちら○○ですけれど、ご用件は何んでしょう?」
と、相手の先を突いて応対すると、再び
「ああ、○○さん、コカコーラは何処で買ってますか?」
と聞いてくる。よく聞いてみると声がしっかりしているので、まんざらクレイジーではなさそうだと思い、何処かと掛け間違っているのだと思い
「あの、こちらは英語の教室ですけれど・・・何処かと間違っていませんか?」
と、丁寧に応対してあげると、
「はい。私はフランス語が喋れます」
あっ!こりゃいかん、と思った義兄はガシャン!と受話器を置くと子供らに
「外は暑いから、明日からは帽子をかぶって外へでなさい!」
と言った。
この電話の相手は誰か、説明はいらぬであろうが、僕は義兄から
「昨日、変な電話が三回もあって、いやぁ世の中にはまだクレイジーが居るんやなぁ。ああいうのを野放しにしたらいかんなぁ」
という事を聞き
「うん、野放しにしたら、あかん」
と、力強く答えた。

 この弁当屋の職業病で大太りの中野を引っぱって、僕らは岩登りへ行くが彼はズルズルと滑りだし、ヨーロッパアルプスの数々の登攀記録の権威と誇りとを守ってか、その後、彼は
僕らとは一緒に山へ行こうとはしなかった。そして、弁当屋の前を通る体格の良い高校生らに
「兄ちゃん!良い身体しとるなぁ、何処の学校や?」
と自衛隊の勧誘員みたいな声を出して、若い人を集めていた。彼は密かに、山岳会を創ろうともくろんでいたのである。
 こうして彼は体格の良い高校生らと、弁当を買いに来る若い人達を集めて、南アルプスの剣(つるぎ)岳(だけ)のチンネというルートに登って来た。
「高校生ばかり連れて危なくないか?」
と僕が尋ねると
「わしゃ、あんたみたいに空を飛ばんぜ」
と、また憎たらしいことを言う。





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